高知地方裁判所 昭和55年(ワ)469号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【判旨】
一<証拠>を総合すると、原告は地元の人でゴルフができ、被告企画経営のこのコースでも何度かプレーしたことがあることから、この日臨時に雇用されることになつたもので、当日のチャリティゴルフに関し原告につき厳格に事務分掌が定められたわけではなかつたことが認められるから、原告はチャリティゴルフの共催者である被告両名に共同して雇用されたものと解するのが相当であり(原告は、第一次的には、このことを主張するものと解される)、被告らには、いずれも原告を安全に就労させる労働契約上の義務があるというべきである。
二ところで、<証拠>を綜合すると、当日原告が被告企画のキャディマスター森田壮一から頼まれた仕事は、暫くの間一六番ホールに行つて、そこでワンオンしたプレーヤーにワンオン賞を渡すということであつたところ、その賞品を渡す場所は、被告企画のコースキーパー宮尾豊多が原告を車で運んで指示した場所であり、同日午後一時半頃原告は正にその場所で仕事中に本件事故に遭つたことが認められる。
三その際被告らの側で、原告にヘルメットをかぶせたり、頭上を覆うべきパラソルを準備する等原告の安全を配慮した形跡を認めることができない。ワンオン賞を交付する仕事の中には、ワンオンしたかどうかを確認する仕事を当然に含むものといえるから、その位置は、必然的にボールが飛来する危険のある場所というべきであり、右のような配慮をした形跡が認められない以上、被告らは原告に対する安全配慮義務に違反したというほかなく、原告の本件受傷に基づく損害につき被告らは各自賠償の責を負うべきである。
四<証拠>を綜合すると、
事故当時、原告はプレーヤーのスウイングは見たものの、ボールの行方を見失つたまま、頭部に衝撃を受けて受傷したことを認めることができるが、同時に、当時晴天で太陽がほぼ中天にあつて打球が見にくく、打つたプレーヤー自身も、またそのキャンディでさえも、ボールの行方を見失つたことが認められるのであるから、原告がボールの行方を見失つたからといつて、原告に過失があるとはいえない。
(乾達彦)